「そろそろAI活用を進めないとまずい気がする、でも何から始めれば良いかわからない」
「AI活用をと言われても、日々の業務に追われて新しいことを始める余裕がない」
「試しにAIを使ってみたけど、期待したほどのアウトプットが得られない」
WebマーケティングにおけるAI活用の必要性が語られることが増えるなか、そんなお悩み、もやもやした気持ちを抱えている担当者も少なくないのではないでしょうか。
本記事では、ディレクターバンクでAI活用支援の案件を多く担当している、AIコーディネーターの山中 由充さんに、Webマーケティング×AI活用の第一歩として今すぐに取り組めることと、成果につなげるために押さえるべきポイントを聞きました。
目次

Webマーケ×AI活用の第一歩、まずは手持ちのデータを分析させてみる
-Webマーケティング担当者で、業務へのAI活用はまったくの初心者、でもさすがに何か始めないとまずい気がする……という段階の場合、第一歩目としておすすめできることはありますか?
山中:Webマーケティングの担当者さんであれば、日々の業務のなかで、ExcelやCSVになっている自社の何らかのデータをお持ちだと思います。まずはそれをAIに分析させてみる、というのが第一歩目としておすすめです。
たとえば、GA4やサーチコンソールのデータをCSVでエクスポートして、社内レポートを毎月作成しているという方は多いのではないでしょうか。そのデータやレポートをAIに渡して、自分が気づけていない可能性を提案してもらうという活用が考えられます。
AIは、大量のデータのなかから人間が気づけていない視点を整理して提示するということがとても得意です。競合調査や、クリエイティブデータの分析なども同様に行えるはずです。
ただ、その際に気を付けてほしいのが、AIに何かを分析させるときは、前提条件が大切だということです。少なくとも手元にあるデータと既存のアウトプットを見せた上で、自分たちが気づいていないところを整理して教えてほしいというように、前提条件を伝えることが大切です。
有料AIツールを使ってみるなら月額利用で切り替えるのがおすすめ
-一般的に、AIツールというとChatGPTやGemini、Claudeなどの対話型生成AIツールが思い浮かびますが、Webマーケティング担当者が業務でAIを活用する際には、どのようなツールがおすすめですか?
山中:総合的に見ればChatGPTがおすすめです。ChatGPTは、同様の生成AIツールのなかでも開発スピードが早いですね。私はClaudeもよく使っていますが、Cluadeは画像生成があまり得意でない印象です。汎用的に使いたい場合はChatGPTのほうがおすすめです。
Geminiは、NotebookLMが優秀です。また、音声生成も得意で、他の生成AIツールではできないような、自然な感情が乗った声の生成もできます。一方で、GeminiはChatGPTほど先回りした提案をしてくれず、コミュニケーションコストがかかりやすい印象です。
いずれにしても、そういった生成AIツールはアップデートが早く、数カ月で状況が変わることも珍しくないので、有料プランを利用する場合は月額契約がおすすめです。年間契約のほうが料金は安くなりますが、月額契約でその時々の自身のニーズに合ったツールとプランに切り替えていくほうが良いと思います。
-業務で活用する場合、最初から有料プランを使ったほうが良いでしょうか?まずは無料プランからでも試す価値はありますか?
山中:無料版から試す方法もありますが、機能や利用回数に制限があるため、AI本来の性能を十分に体験できず、「思ったほど使えない」と誤った評価をしてしまうリスクがあります。また、AIツールによっては、無料版で入力した情報が初期設定でAIの学習に利用される場合もあるため、業務で使用する際は情報の取り扱いにも注意が必要です。
-たとえばChatGPTの有料プランで自社のWebサイトについて分析してみようとなったときに、役立つアウトプットを得るために気をつけるべきことはありますか?
山中:先ほどの繰り返しになりますが、前提条件をきちんと伝えることがまず大切です。それができていないと、生成AIの情報収集の範囲が大きくなりすぎて、情報の絞り込みのフォーカスが甘くなり、「何か違うな……」というアウトプットになりがちです。
Webサイトリニューアルであれば、競合などベンチマークするWebサイトを決め、そのサイトとの差分からこういうところを取り入れたいなどと考えるのも良いですね。また、「ここは変えない」という要素については、なぜ変えないのかという意図とともに伝えると良いでしょう。
コミュニケーション次第で、AIが「使える」「使えない」が分かれる
-山中さんAI活用の支援をするなかで、生成AIツールを活用してうまく成果につなげている方の共通点はありますか?
山中:対人でもオンボーディングが上手な方は、生成AI活用も上手な傾向があると感じます。
AI活用がうまくいかないという話でよく聞くのが、「生成AIツールを使うと『良い感じ』のものはできるが、『良い感じ』の域を出ない」という声です。AIもほかのWebマーケティングツールと同じく、導入しさえすればすぐにうまくいくというものではありません。
生成AIツールなどを活用して成果を出すには、求めるアウトプットに対して必要なデータを読み込ませ、コミュニケーションコストをかけて洗練度を上げるという、対人と同じ育成を行う必要があります。いくらAIが優秀でも、最初は「あなたのことを知らない」わけです。
一方で、この最初の段階さえうまく超えることができれば、後はコミュニケーションコストが大きく下がります。過去の会話を基に、「同じようにやって」と指示を出すこともできるようになります。
ただ、その最初の段階で疲弊してしまって、「AIって使えない」となってしまうことも珍しくありません。私が支援に入る際には、その最初の段階にしっかりと伴走させていただくことで、最終的には社内でAI活用を完結できる体制を作るということも行っています。
-山中さん自身は、AIの最初の「育成」においてどのようなことを意識していますか?
山中:入口と出口を気にしています。入口は、先ほどからお話ししている前提条件であり、アウトプットをするためのルールですね。まずはそれを明確に伝えます。
その上で、AIと会話を重ねていくなかでアウトプットが変化していくわけですが、AIは一番最初のアウトプットを書き直そうとする傾向があるんです。そこで、こちらからの最新の指示とそれを基に出された最新のアウトプットを正とするよう伝えるようにしています。
これにより、アウトプットの変化を時系列で追いやすくなります。また、AIと会話を重ねるなかでこちらが疑問に感じることがあったら、いったん作業を止めてもらい、なぜその考え方や理解に至ったのかを確認するようにしています。
一見面倒なようですが、最初にそういった会話の重ね方をしたほうが、だんだんと手戻りが少なくなり、簡潔な指示でもこちらの意図を汲んでくれるようになります。最初は時間がかかっても、最終的には作業にかかる時間が短くなるんです。
また、これまで生成AIツールを体感として、一気に大量のデータを渡したり、矢継ぎ早に指示をしすぎるとアウトプットの質が下がるように感じています。なお、Claudeでは、執拗な暴言が続くと会話が終了する機能も備わっています。AIとの会話であっても丁寧に行うことは、個人的にも意識しているところですね。
Webマーケ業務の8割を任せられる可能性も。AI活用で戦略に集中を

-Webマーケティング担当者のなかでも、特にこういう人にAI活用をおすすめしたいなどありますか?
山中:「一人でWebマーケティング担当をしていて手一杯……どうにか余裕を作りたい」という方に、まずおすすめしたいです。Webマーケティング担当者の業務というのは、年々やることが増えつづけています。そこにAIを活用することで、8割くらいを解決できる可能性もあります。戦術をAIに任せ、戦略を組み立てることに思考を使えるようになるというイメージです。
なお、AIツールを活用する際には、外部サービスとつなぐための共通規格「MCP」を活用することをおすすめします。このあたりの詳細は、今後、ウェビナー・セミナーでお伝えしていこうと思います。
今回はWebマーケティング担当者さんのAI活用の第一歩というところに焦点をあててお話ししていますが、今後、ウェビナー・セミナーでは、さらに詳しいAI活用の戦術やツールの使い方、事例などをご紹介していきたいと考えています。