”読む”から”つながる”へ、今求められる”双方向”のオウンドメディア
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情報発信の方法が多様化するなか、オウンドメディアにも、動画や音声など多様な要素を組み合わせた、「リッチコンテンツ」と呼ばれるコンテンツが増えています。リッチコンテンツを活用することで、企業はユーザーとの双方向のコミュニケーションをとりやすくなり、オウンドメディアの役割の変化にもつながっています。
本記事では、そんなリッチコンテンツ活用の効果や、オウンドメディアの変化を解説します。また、コンテンツマーケティングを中心にさまざまな企業のWebマーケティングを支援してきたディレクターの佐藤 章太さんに、これからのオウンドメディア運営に必要な考え方や、成果を出している企業に共通する点などを、現場視点で解説してもらいました。
目次
リッチコンテンツとは?オウンドメディアの変化
リッチコンテンツとは?
「リッチコンテンツ」とは、動画・音声・アニメーション・インフォグラフィック・漫画といった、多様な要素を組み合わせたコンテンツのこと。YouTube動画、漫画形式の記事、ポッドキャストなど、視覚や聴覚に働きかけるコンテンツがその代表例です。
こういったリッチコンテンツを、企業が自社で運営するメディア「オウンドメディア」に活用する事例が増えています。
オウンドディアの役割の変化
従来のオウンドメディアは、テキスト主体のコンテンツにより、SEOを通じて新規ユーザーを集める「集客装置」としての役割が中心でした。企業はブログやWebマガジンを運営し、検索エンジンからの流入を増やして問い合わせや資料請求へつなげるという、ある意味「一方通行」の情報発信を行っていました。
しかし現在のオウンドメディアは、ユーザーと双方向につながる場へ進化しつつあります。そこには、リッチコンテンツの活用も影響していると言えるでしょう。
リッチコンテンツは、視聴やスクロールだけでなく、ボタン操作・アンケート・コメントなどを通じてユーザーが能動的に参加できる点が特徴です。こうした「双方向」のコンテンツが、企業への好意度やサービスへの愛着を高め、エンゲージメント向上につながります。
では、具体的にどのようにリッチコンテンツを制作し、オウンドメディアに活用すれば良いのでしょうか。オウンドメディアの運営も含む、さまざまなコンテンツマーケティング支援を行ってきたディレクター・佐藤章太さんに、リッチコンテンツと双方向の情報発信について、現場視点での実践的アドバイスを伺ってみました。
現場のプロが解説!オウンドメディア×リッチコンテンツで成果を出すためのポイント

佐藤 章太
インターネット広告代理店、SNS事業会社勤務等を経て、独立。現在、コンテンツマーケティングを専門としたWebディレクターとして活躍中。バー『コワーキングスナック Contentz』(東京・五反田)オーナー。奄美大島生まれ。東京育ち。
情報が双方向になるには「提案型」のコンテンツで「読者をリードする」ことが必要
―オウンドメディアにおいて、一方通行の情報発信ではなく、ユーザーからのリアクションやコメントを得る双方向の情報発信を行うには、どのようなことが必要なのでしょうか?
佐藤:大きく分けて2つあると考えています。1つ目は、「提案型」のコンテンツです。「これを読者に知ってほしい」ということを提案していく考え方を重視しています。
オウンドメディアを運営していると、「読者が何を知りたいのか」「他社は何を発信しているのか」などが気になりがちです。しかし、読者が「なるほど」と関心を持ち「ここは良いメディアだ」と感じるのは、自分が知らない情報に触れたり、自分の知らないことに気づいたりしたときなんです。
2つ目に、「読者をリードしていく」視点です。ある意味上から目線かもしれませんが、自分たちはこう考えていて、これがスタンダードだという視点で、情報を発信することが重要です。少し乱暴な言い方をすると、「ユーザーに媚びない」ということですね。
メディアの大前提は、「教養」や「娯楽」を提供することです。そのために、メディアとしての人格を持って、独自の角度でコンテンツを作り、発信していく必要があると思います。
自社のビジネスとしてオウンドメディアを運営するとなると、どうしても競合他社の発信やユーザーのニーズが気になり、弱気になったり視野が狭くなってしまったりしがちです。そこで他の目を気にしすぎずないことが大切です。
効果的なコンテンツ制作のカギは予算×運営体制×外注活用

―オウンドメディアにリッチコンテンツを活用する際に、課題になりやすいのはどのような点ですか?
佐藤:課題となりやすいのは、「属人性」が出せないことです。インターネットで調べてすぐに出てくるような基礎知識ばかりになっている状態ですね。
たとえば、住宅メーカーのオウンドメディアで「家づくりのノウハウ」というコンテンツを作るようなケースが該当します。そういった情報は、わざわざそのメディアを見なくても得られますし、今ならAIに聞けば済みます。
読者が本当に興味を惹かれるのは、「パーソナリティ」のある情報です。読者にある程度の基礎知識があることを前提に、自社独自の視点を打ち出したコンテンツを作成することが求められます。
-独自性を出すためにはどうすれば良いのでしょうか?
佐藤:オウンドメディアを立ち上げる段階で、「何が跳ねるのか」を理解して、そのためのコンテンツを継続して制作するために必要な人材がそろっている運営体制と、予算が確保できることです。
たとえば、動画コンテンツを制作するのであれば、個性があり顔出しができる人、台本を書ける人などが必要です。正直に言えば、オウンドメディアを始めてから人材を手配しているようでは遅いですし、そういった人材がいないのなら、最初からオウンドメディアはやらないほうが良いと、私は思っています。
また、事例をきちんと出せることも重要です。匿名性の高い事例では独自性につながらないので、クライアントの合意を得た、生きた事例を出せるかどうかですね。
-オウンドメディアにおいてうまくリッチコンテンツを活用している企業に共通する点はありますか?
佐藤:「予算」と「運営体制」に加え、「外注使いがうまい」という3点に尽きます。
外注パートナーは、指示書通りに作るのが得意な人ではなく、企画段階から提案ベースで動けるプロフェッショナルを選ぶことが重要です。その上で、外注パートナーに一定の決済権を持たせてプロジェクトを進めましょう。
ただし、丸投げは危険です。外注パートナーが自身のリソースを出し惜しみせずに最適に使い、プロの力を発揮できるかどうかは、現場を作る発注側の手腕にかかっています。
実際に外注パートナーとしてさまざまな企業を支援してきた私の経験からすると、「社長決済」の案件は成功しやすいと感じます。
リッチコンテンツの制作には多くのコストがかかります。このコスト感を「身銭を切っている感覚」で理解してくれる社長は、こちらの提案も真剣に聞いてくれるので、改善のスピードも速くなります。逆に、「自分のお金ではない」という感覚の担当者がオウンドメディアの形だけ整えようとしている現場は、なかなかうまくいきません。
収益化するバックエンド設計が重要、安易に着手はおすすめできない
-オウンドメディアの運営がうまくいかないケースは、どういった原因が多いでしょうか?
佐藤:マネタイズのためのバックエンドの設計に原因があることが多いです。オウンドメディア単体での収益化は非常に難しいので、オウンドメディアを入口にして何を販売したいのかという、バックエンドとの整合性が重要です。
たとえば、オウンドメディアの受託制作をしている会社がオウンドメディアを運営するというのは、非常に良い設計だと思います。逆に、単価数百円の日用品を販売している会社が多額の予算をかけてオウンドメディアを運営しても、収益につながりません。
オウンドメディア運営で失敗しないためには、自社商品・サービスの単価や利益率と、メディアの予算感を照らし合わせ、収益化できるモデルになっていることが重要です。
オウンドメディアを、「他社がやっているから」「流行っているから」という理由で始めるのはおすすめしません。会社や商品に知名度やブランド力がある、コンテンツ制作のコストを極端に抑えられるノウハウがある、潤沢な資金がある、といった裏技のような要素がない限り、安易に手を出すべきではないというのが私のスタンスです。
型を作りPDCAを回す、ブランド力を軸にしたオウンドメディア事例

-効果の出ているオウンドメディア運営で、参考になる事例があれば教えてください。
佐藤:オウンドメディア運営が成功しやすい要素のひとつである、強いブランド力を持っていたM社の事例が印象に残っています。
M社では、日用品から食品、さらに住宅まで幅広く事業を展開しています。そのいずれの分野でも、お客様の購入理由が最終的にブランドのコンセプトに行きつくという、一貫した明確なブランド軸がありました。
そのなかで、オウンドメディアはブランドを補完する役割として機能しており、コンテンツの方向性や型が整理しやすい状況でした。
特に、動画コンテンツの制作において、型を作ってPDCAを回すということを行っており、この点は他の企業でも再現性のある方法だと思います。
動画の尺に応じた起承転結の構成やテキストの位置などの型を作り、それに基づいてコンテンツを制作することで、無駄なコストを抑え、PDCAを回すなかで改善を行いやすくなるはずです。
運営体制を整えた上で、独自性のあるコンテンツを考えよう
オウンドメディアの役割が変化するなかで、読者に興味関心を持ってもらうために重要なのが、「提案型」コンテンツと「読者をリードする」視点を意識して、「わざわざ見る価値」を感じられる独自性を持つことです。
リッチコンテンツの活用は、そのための手段になり得ます。ただし、リッチコンテンツを制作し、継続的に発信するには、それだけの「予算」と「運営体制」が必要です。運営体制については、外注パートナーを上手に使うことも、成功の要素となります。
外注選定では、オウンドメディア運営の知見やノウハウがあることは当然ながら、ただ指示した業務をこなすのではなく、企画から一緒に考えてくれるパートナーを選ぶことをおすすめします。
ディレクターバンクでも、オウンドメディアの企画から構築、運営までを伴走しながら支援が可能です。オウンドメディア運営に興味はあるものの、「何から手を付ければいいか分からない」「自社に合った進め方を整理したい」といったさまざまなお悩みを、お気軽にご相談ください。
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山口県出身。京都大学文学部卒。国文学専攻だったので源氏物語など王朝物語に普通より少しだけ詳しい。
EC企業(マーケティング、コンテンツ制作担当)、EC業界向けメディア(記事の執筆・編集、メディア運営を担当)を経て、2017年に独立。
ライター・編集者として、紙媒体・Web媒体問わず幅広い分野の記事を企画から執筆まで対応。Webマーケティング、ECのオウンドメディアコンテンツ、採用インタビュー、事例取材などの実績多数。