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失敗しないオウンドメディア運用とは?収益化できるバックエンド設計と継続できる運用体制から考えよう


オウンドメディアは、企業が自社の情報や価値を発信し、顧客との接点を築くための有効なマーケティング手法のひとつです。一方で、「オウンドメディアを始めたいが、どのように設計すれば良いのかわからない」「立ち上げたものの、思うように成果が出ない」といった声もよく聞かれます。
本記事では、オウンドメディア運営でつまずきやすいポイントや、成果につながる運用設計の考え方を解説します。そのうえで、これまで多くのオウンドメディアを支援してきた、ディレクターバンク登録ディレクターの佐藤章太さんに、失敗しないためのオウンドメディア運営について、現場のプロ目線でアドバイスしてもらいました。
目次
オウンドメディア運用の進め方
オウンドメディア運用とは?
オウンドメディアとは、企業が自ら保有・運営するメディアの総称。たとえば、自社で運営するWebサイトやブログなどのWebメディア、またニュースレターなどの紙メディアも該当します。
企業のWebマーケティングでよく活用されるメディアとしては、オウンドメディアのほかに、広告(ペイドメディア)や SNS(アーンドメディア)があります。これらのメディアのなかで、オウンドメディアは、内容やデザイン、情報発信方法など、自社でコントロールできる範囲が大きい点が特徴です。メディア運営を続けることで、コンテンツが資産として蓄積され、自社やブランドの信頼性の向上やファン形成にも効果を発揮します。
オウンドメディア運用の全体フロー
STEP 1. 企画・設計
オウンドメディア運用の目的とターゲットを明確にした上で、それを踏まえてメディアの運営方針や成果指標を定めます。ここでは、Webサイトで情報発信を行うケースを想定します。
STEP 2. サイト構築
新規Webサイトを立ち上げる場合、ドメイン・サーバーを準備します。オウンドメディアの構築には、WordPressなどのCMS(Contents Management System =コンテンツ管理システム)がよく使われます。
STEP 3. コンテンツ制作
目的・ターゲットに応じたテーマと検索キーワードを洗い出し、コンテンツを作成します。SEOに加え、LLMOも意識しましょう。サイト公開時に 5~10本の初期記事を準備しておくと、集客がスムーズです。
STEP4. 4 公開・集客
会社サイトや SNS、メールマガジンなど、お客様とのあらゆる接点でサイト公開を告知します。状況に応じて Web 広告も活用しましょう。
STEP. 5 効果測定・改善(PDCA)
定期的にアクセス状況を分析し、改善を繰り返していきます。
オウンドメディア運用で最初にやるべきことは?
目的・ターゲットの明確化
まず、オウンドメディア運用の目的を明確にします。一般的に、「問い合わせ獲得」や「資料DL」などが目的とされることが多いです。これらの目的に対し、数値による評価軸を設定します。
目的が明確になったら、ターゲットも明確化します。どういった属性で、どういった興味関心を持ち、どういった悩みや課題を抱えるユーザーに情報を届けたいのか、既存の顧客データなども参考にしながら考えましょう。
コンセプト・テーマの決定
目的・ターゲットを踏まえ、オウンドメディアの軸となるコンセプトを設計し、求められるコンテンツのテーマを洗い出します。
ターゲットのニーズに対して、自社が提供できる価値や強みを考え、さらに競合の状況を掛け合わせることで、独自性のあるコンセプトやテーマにたどりつきやすくなるでしょう。
運用体制とルールの整備
コンテンツの更新頻度、進行フローを設計し、継続的に運用可能な役割分担を行います。社内だけで対応が難しい場合は、外部パートナーの協力を得ることも検討しましょう。
現場のプロがアドバイス!失敗しないオウンドメディア運用とは?

佐藤 章太
インターネット広告代理店、SNS事業会社勤務等を経て、独立。現在、コンテンツマーケティングを専門としたWebディレクターとして活躍中。バー『コワーキングスナック Contentz』(東京・五反田)オーナー。奄美大島生まれ。東京育ち。
簡単ではない、オウンドメディアのマネタイズ。収益化はバックエンド設計から
ーオウンドメディアに取り組む企業がつまずきやすい点として、どのようなものがありますか?
佐藤:まず、オウンドメディア単体でマネタイズしようとして、つまずくケースが多く見られます。オウンドメディアの立ち上げを検討する際、広告掲載や記事広告などの収益によりマネタイズを考える企業は少なくありません。しかし、オウンドメディアだけで安定的に収益を生み出すのは、そう簡単ではありません。
ーオウンドメディアのマネタイズを成立させるにはどうすれば良いのでしょうか?
佐藤:オウンドメディアでマネタイズするには、バックエンドの設計が重要です。ここでいうバックエンドとは、オウンドメディアを通じて最終的に販売や契約につなげたい商品やサービスのことを指します。
オウンドメディア立ち上げにあたっては、まず、バックエンドの単価と、オウンドメディアの構築や運用にかかるコストを照らし合わせ、ビジネス全体として収益が成立するかどうかを考える必要があります。
たとえば、オウンドメディアのノウハウや事例を解説するオウンドメディアを通じ、オウンドメディアの制作・運用を受託するというケースは、収益性の高いバックエンド設計です。
一方で、百円ショップなどの価格帯の便利グッズを紹介するオウンドメディアを通じて、そういったグッズを販売するというケースでは、収益化は難しいでしょう。オウンドメディア立ち上げに100万円かかったとして、それを回収するのにどれだけ商品を売らなければならないかと考えると、その難しさがわかるはずです。

成果を得るには継続運用とPDCAが鍵。「型」を作り、外注パートナーの検討も
―マネタイズの他にも、オウンドメディア運用で課題となりやすいことはありますか?
佐藤:「PDCAが回らない」という課題もよく聞きます。オウンドメディアで成果を出すには、継続してコンテンツを発信していくことが前提です。そのなかで、成果が出るコンテンツもあれば、思ったような成果につながらないコンテンツも出てきます。その差を踏まえて、改善を重ねることのできる運用体制が必要です。
-オウンドメディアを継続的に運用し、PDCAをうまく回すにはどうすれば良いのでしょうか?
佐藤:まず、コンテンツ制作の「型」を作ることが重要です。型が整理されていないと、判断が属人的になり、アイデアベースの対応に偏ってしまいます。そうすると再現性のある改善ができず、結果としてPDCAが回りにくい状態になってしまいます。
また、外注パートナーの活用も重要です。外注パートナーは、各分野の専門家として幅広い知見や経験を持ち、それらを横断的に活かして「型」を作ることができます。たとえば、「あの現場ではこの方法がうまくいった。今回も似たケースだから、この型に当てはめてみよう」「この業種ではこの手法が有効だった」といった形です。

企画よりブランド・商品力・運営体制を優先。オウンドメディアが向かない場合もある
ーオウンドメディアで実際に成果を出している企業には、どのような共通点がありますか?
佐藤:共通しているのは、収益化できるバックエンド設計が成立するだけの、「ブランド」「商品力」「運営体制」があることです。知名度のあるブランド、広告に依存せず売れる商品力、コストを抑えてコンテンツを制作できる運営体制など、できるだけ条件がそろっていることが重要ですね。
オウンドメディアを始める際、最初に「企画」を考えることも多いですが、企画を考えるのはこれらの条件が整ってからで良いと、私は考えています。
企画というのは、その企業が持っている材料を使って料理をするようなものです。今はインターネット上に参考になるコンテンツがたくさんありますから、それらを調べれば企画の「レシピ」自体はある程度作れます。しかし、材料がなければ、どんなに良いレシピがあっても料理は作れません。
そのため、「流行っているから」「競合がやっているから」といった理由だけでオウンドメディアを始めるのは、あまりおすすめできません。明確な勝ち筋や目的が見えていない場合は、立ち上げ自体を慎重に判断したほうがよいと思います。

「何を発信するか」ではなく、課題に対しオウンドメディアを「どう使うか」を考える
ー佐藤さんが支援してきたオウンドメディア案件のなかで、印象に残っている事例を教えてください。
佐藤:訪問介護に関するあるオウンドメディアが印象に残っています。
介護分野でもっともマネタイズが大きいのは、実は老人ホームです。特別養護老人ホームのような公的施設から高級老人ホームまで幅があり、利用者の経済状況によって選択肢が大きく分かれます。つまり、お金が動きやすい領域なんですね。
ただし、多くの人がすぐに老人ホームへ入れるわけではありません。特に東京都では施設が満床に近く、お金を払っても入れないケースが多い状況です。そこで東京都は、「在宅で生活を続けるための訪問介護を推進する」という大きな方針を打ち出しています。
このメディアは、そうした背景を踏まえて作られました。つまり、「介護メディアを作ろう」という発想から始まったわけではありません。「訪問介護を広げる必要がある」という社会課題があり、それを解決する手段としてメディアを設計したのです。この設計がうまく機能しました。
まず、東京都の方針に沿ったテーマであるため、補助金や助成金が採択されやすいという点が大きかったです。実際に大きな助成金が2つ採択され、コンテンツ制作にしっかりと予算を取ることができました。
また、訪問介護には確実なニーズがあります。一定のボリュームのニーズがあることがわかっているうえに、競合がどこを狙っているのかも見えやすい。つまり、狙うポジションが明確な状態でメディアを立ち上げることができたわけです。こうした条件がそろうと、構造的に成功しやすくなります。
なお、ニーズはあってもその対象が極端に限定される場合は、オウンドメディアとして成立しにくくなってしまいます。
この事例からわかるのが、オウンドメディアの成功は、発想の出発点がポイントだということです。「オウンドメディアで何を発信するか」から考えるのではなく、「どんな課題があり、それを解決するためにメディアをどう使うか」から考える。その設計がうまく機能した好例が、この事例です。
バックエンド設計と運用体制を整え、成果につながるオウンドメディア運用へ
オウンドメディアは、企業が自社の情報を自社でコントロールしながら発信でき、認知拡大やブランド育成、集客につなげるのに有効なマーケティング手段です。ただし、そういった成果を得るためには、収益化できるバックエンド設計や、PDCAを回しながら継続的にコンテンツの発信および改善ができる運用体制などが重要です。これらは、オウンドメディア立ち上げの際に、戦略的に設計しておく必要があります。
自社だけで対応が難しい場合は、専門の知見を持つ外部のパートナーの協力を得ることもひとつの方法です。ディレクターバンクでも、オウンドメディアの戦略設計からコンテンツ制作、運用支援まで、企業の課題や目的に応じて柔軟にサポートしています。
オウンドメディアの立ち上げや運用に課題を感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。

東京都出身。2021年よりライターとして活動。Webマーケティング、法律、M&Aなど専門性の高い分野から生活情報まで幅広く執筆。SEO記事のほか、動画台本、社員インタビュー、導入事例記事、コラム記事などの制作にも対応。
理系出身のバックグラウンドを活かし、論理性と客観性を重視したコンテンツを制作。複雑なテーマをわかりやすく伝え、読者の理解と行動につなげる記事制作を大切にしている。
